生死とどうやって向き合っていくのか?

法的知識を持って生死と向き合う

医師や看護師のほか、救急隊員など生死と向き合う仕事に就く人は常に尊い命を救うために全力を尽くしています。
しかし、もはや助からないことが明白で苦痛に悶絶している人に遭遇することもあるようです。
こうした場合、苦痛から解放するために楽に死なせてあげたいと思うこともあるかもしれません。
特に患者から直接死なせて欲しいと懇願された時は、救命の義務を持つ職種の人であっても相手を安らかな死に導いてあげたいと考えることは不自然とはいえない事かもしれません。
しかし、激痛に苦悶する人を楽にするためでも積極的に死期を早める行為を行えば、殺人罪に問われることもあります。
モルヒネなどの苦痛を緩和する薬剤の投与は認められていますが、死に至る薬剤を投与すれば患者本人の意思に基づくとしても自殺幇助の罪を負うこともあります。
また、患者の救命に必要な処置を行っても無駄だからといって、敢えて救命措置を怠る不作為の場合も同様です。
加えて、前もって本人の意思を確認せずに、意識の回復が見込まれない脳死状態の患者の延命措置を中止する尊厳死と呼ばれるケースも殺人罪に該当する場合もあります。
また、救急隊員や消防士など救命義務を負う仕事に就いた人は、自分の命が危ない場合でも他人の救命を優先しなければなりません。
一般人であれば、自分の命が危機に陥った時は他人の命を犠牲にしても生き残ることが刑法上の緊急避難として認められています。
しかし、人の命を救助する職業の場合、自分の命を犠牲にしてまでも他人の救命に徹する義務を担う必要があるのです。